エネルギー供給強靭化法に基づき導入されたレベニューキャップの第一規制期間(2023~27年度)に向けて、一般送配電事業者10社は27日、経済産業相から新たな託送供給等約款が許可されたと発表した。4月1日から適応される。事業者に効率化努力のインセンティブを与えることを目的に取り入れられた新たな託送料金精度。送配電設備の改修や連系線の増強などが課題となる中、まずは第一規制期間の5年間で、上限が課せられた収入で適切な投資が進むかが注目される。
第一規制期間における収入見通しは計4兆6836億円(平均値合計)、10社㌔㍗時当たりの託送料金単価は申請時点と変わらず、特別高圧、高圧、低圧の合計で4円98銭~8円60銭。現行の収入単価から平均で10%強上昇する。
電力・ガス取引監視等委員会は第一規制期間開始後、各社の目標計画達成状況を期中に評価。結果は必要に応じて行われる収入見通しの期中変更や、翌期の収入上限の上げ下げに反映する。
自然災害や気温変動による電力需要の減少など、一般配送電事業者の自助努力では対応しきれない制御不能費用は翌期に上げ調整を行う。累積変動額が収入上限の5%に達した場合は期中に調整される仕組みだ。
一般送配電事業者の投資の確保とコスト効率化を両立させ、再生可能エネルギーの主力電源化、レジリエンス(強靭化)向上を図ることを目的に整備されたレベニューキャップ制度。審査によって決まった収入上限で必要な投資が進み、効率化のインセンティブがきちんと動くのか。第一ステップとなる今後5年間が制度の行方を占う試金石となりそうだ。